「自分」がこの世に生まれるまで、
いくつの命を経由したのか分からないが、
たとえば微生物から順に進化してきたとして、
各個体の生存確率を全て掛け合わせたら、
とんでもなく小さい数字になるだろう。
そして、精子が特定の1個でないと
「自分」にはならないとしたら、
さらにその数字は小さいものになるだろう。
「自分」が生まれるには現在の父と母が生まれる必要があり、
祖父母以前の先祖の生存確率の掛け合わせと、
特定の精子が選ばれる確率、
それらを掛け合わせる必要があるからだ。
そして、その考えを更に祖父母にも当てはめて、
さらにその前、と遡っていくと、
尋常ではなく確率は小さなものになっていく。
加えて、「自分」と「あなた」がこの世に共存している確率は、
さらに小さなものになる。
数字だけ見れば、到底起こりえない、という感想を抱くだろう。
しかし、現に、それはこの世に共存している。
これは一体、どういうことか?
また、そもそも、父と母が今の父と母でない状態で、
「自分」はこの世に誕生しえたのか?